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ポーランドのいくつかの街と田園、そしてハンガリーのブタペストでのアーティストレジデンシーを経て、オランダのハーグに移動した。
ハーグは落ち着いた街だった。人々は、犬を連れて穏やかな日差しの中を歩いている。カフェでは、子犬が店内をリードなしで歩きまわり、猫が椅子の上でまどろんでいる。人々は何かお互いの距離のようなものを粛々と保ち、まるで春の午睡が醒めやらぬまま生活を送っているかのようだった。 ![]() 街を包むそんな穏やかな空気が好きになり、知人のオランダ人にそのことを告げると、彼は「でも僕はオランダをあまり好きではないな。ここの人は冷たいんだ」と言った。 彼はブダペストに暮らすアーティストで、今回僕が一緒にステージを作った相手だった。彼は4Dサウンドシステムという立体的な音響システムとソフトウェアの開発者である。 彼はブダペストがとても好きだとも言った。 「ブダペストでは、オランダでは感じないものを感じることができる。それは人々の体温のようなもの、あるいはリアルな感触のようなものだ」 彼が言う意味はわかるような気がした。言葉ではうまく説明できないかも知れないが、少なくともそれは僕がブダペストにいて肌で感じたことでもあった。 オランダの街はとても平和な感触で、過ごしやすい。ブダペストからハーグに移動してきて、僕は心の底からゆったりすることができている自分を発見した。それは、僕が日本という良くも悪くも均質で、透明な社会に生まれ育ったせいかも知れないし、あるいは僕の年齢のせいかも知れない。僕がもしもっと若かったら、この街は平凡で刺激のないつまらない街だと思い、むしろブダペストを熱烈に好きになったかも知れない。 いずれにしても、ブダペストとハーグには大きな隔たりがあり、大きなギャップがあり、そして画然たる熱の差があった。 その熱とは、人と人とが肌を擦り合せ、摩擦を起こし、涙を流すことである。血を流し、声を上げ、歌うことである。恋の歌と、故郷の歌と、国家の歌。母の歌と、失意の歌と、悲しみの歌。人は他者を愛し、他者を憎む。他者を傷つけ、他者を慰める。他者を貶め、他者を救済する。他者の呼吸をその肌で感じ、撥ねつけ、引き寄せる。両腕で抱きしめ、その腕の中で、おまえと俺とが他者同士ではなく、ひとつになれたらどんなに素晴らしいかと涙を流す。そして果てしないキスの中で、世界は崩落する。そして世界は憎しみに満ち、同じ質量の愛情に満ちる。 ブダペスト南駅。 シリアなどから流入する難民にあふれていると聞いていたその駅に、難民は一人もいなかった。すでに国境は封鎖され、難民たちは別ルートを通ってドイツを目指していた。 僕が投宿していたブダペスト市のレジデンシーは、その南駅から数駅先の倉庫街のようなところで、あたりにはロマ(ジプシー)たちのパブがあった。 夜、部屋の窓から外を眺めていると、近東からの難民らしき集団の人影が外を通り過ぎていった。 「難民が歩いているのを見たよ」翌朝、同じレジデンシーに長く住んでいるハンガリー人のアーティストにそう言うと、彼は、 「いや、たぶん違うな。彼らはロマだよ。このあたりには多いんだ」と言った。 次の夜も、やはり彼らは僕の窓辺を通り過ぎていった。 しかし今度は、もっと小さな集団だった。男女の大人が二人。そして、子供が三人の明らかに家族らしき人影たちだった。彼らは黙々と歩いていた。ただ、子供の一人だけがわずかにスキップするように軽やかに歩いていた。夜が彼らを包み、街灯が彼らの影を、夜よりも暗くて長い影を作っていた。 彼らはこちらから来て、あちらへと歩いていく。夜の闇の中を、移動してゆく。真夜中の午前1時。彼らはなぜ歩いてゆくのか。子供たちはなぜ、闇の中を歩くのか。彼らは真冬の街もこうして歩くのだろうか。彼らは一体どこから来て、どこへ行こうとしているのか。 ブダペストは熱い街である。 長旅の供に持ってきた三島由紀夫の『豊穣の海』が、読みかけのままベッドに放ってある。 冷たい社会ではもはやとうに力を失ってしまった文学。日本や、あるいはオランダもそうかも知れない。 しかし、もし文学というものがまだ熱を持っているとしたら、それは間違いなくあのロマたちとともにあるだろう。夜の闇を歩く彼らの中にあるだろう。あの少年がやがて大人になり、もしペンを握るとしたら、彼は一体どんな小説を書くだろう。破壊的な力を持つテキスト。すべての世界と、たった一人の愛情を拮抗させてしまうような恐るべきテキスト。 僕はあの少年の中に、一人の作家を見る思いがした。文学はあの少年とともにあるべきだ。 闇の中の少年。暗く冷たいアスファルトからほとばしる熱。 ブダペスト。2015年9月中旬。 ![]() #
by rhyme_naaga
| 2015-10-16 00:02
| Naaga`s Voice
EP "cold moon"に収録された曲のフルバージョン。
9分超のテクノアンビエント。シンギングボウルがテーマになっていて、その響きにからみつくようにミニマルなリズムとベースが繰り返される。 曲をミニマルかつ長めにし、テンポを抑えたことで、内向的でトランシーな感じに仕上げた。 単調なリズムのミニマルミュージックは、シャーマニックである。あれはいつのことだったか、アメリカインディアンのメディシンマンが叩く太鼓を聞いたのは。熱気で朦朧とする意識の向こうから聴こえてくる太鼓。 その太鼓は、かつて魂の乗り物と考えられてきた。それは、魂がリズムに乗って旅をするからである。天空と、地底の、見えざる世界を旅するからである。 もしよろしかったら、どうかお聴きください。 #
by rhyme_naaga
| 2015-10-10 23:28
| etc
9月24日〜27日、オランダのハーグでTodaysArtというコンテンポラリーアートの大きなイベントがあります。
僕の出演は、この期間毎日になります。 もしヨーロッパにいらっしゃる方がおりましたら、ぜひお越しください。 4Dサウンドという未来型の音響システムの空間での演奏です。 ![]() #
by rhyme_naaga
| 2015-09-03 22:44
| ライブツアー
10月3日、東京市ヶ谷で真言宗の読経の方々たちとのコラボのライブがあります。出演は、その他にKNOBさん。
市ヶ谷ルーテルのホールは響きが美しいので、読経の響きがとても楽しみです。 初秋の頃、もしよろしければ、どうかいらしてくださいませ。 日本人の行き方〜「般若心経」と「十善戒」に倣う ![]() 日時: 10月3日(土)17:30~19:30(開場17:00) 出演: 真言法響会(声明) KNOB(磐笛、ディジュリドゥ) 長屋和哉(Mac、パーカッション) 会場: 市ヶ谷ルーテルホール 東京都新宿区市谷砂土原町1-1 料金: 前売5,500円(税込) 当日6,000円(税込) ペア券10,500円(税込・前売のみ販売) 予約/問合せ: 株式会社ピンポイント ☎0463-26-6671(平日10:00〜18:00) http://www.pinpoint.ne.jp/shop/ticket/shop.php 詳細: http://www.pinpoint.ne.jp/event/2015/08/08/post_29.php ![]() #
by rhyme_naaga
| 2015-09-02 20:12
| ライブツアー
6月28日、東京港区の増上寺にてライブがあります。
ライブの前にはトークのコーナーも用意してくださっていますので、リラックスした素敵な感じのライブになると思いますので、みなさん、もしよろしかったらどうかいらしてください。 増上寺は、素晴らしいお寺です。 ***** 長屋和哉 in 増上寺〜夢の通ひ路・無限の輝き〜 日時 ○6月28日(日)15:00~17:00(開場14:30) 出演:長屋和哉(Mac、パーカッション+トーク) ※演奏の前にトークがあります 会場 ○浄土宗大本山増上寺・光摂殿(こうしょうでん) 東京都港区芝公園4-7-35 料金: ○前売4,500円(税込) ○当日5,000円(税込) ※未就学児童入場不可 予約/問合せ: 詳細は以下をご覧ください。 http://www.pinpoint.ne.jp/event/2015/05/10/post_25.php ○制作協力 岩神六平事務所 ○協力 浄土宗大本山増上寺/長谷川岱潤(浄土宗戒法寺) ○主催 株式会社ピンポイント☎0463-26-6671 ![]() #
by rhyme_naaga
| 2015-05-22 23:14
| ライブツアー
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