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先月に山梨を襲った大雪の後、しばらくして書いた文章をまだこのブログにアップしないままだった。
書いたのは2月19日だから、ちょうど1ヶ月前に書いたものだ。 もしよろしかったら、どうかお読みください。 ******** 凄まじい大雪が去り、何日かを経て八ヶ岳では少しずつ日常が戻りつつある。 多くの人たちが何日も列車に閉じ込められ、あるいは車に閉じ込められ、言葉にもならない深い疲労と孤独を感じられたことだろう。心から、そんな方々にせめて暖かな言葉だけでもおかけできたらと思う。 そして、亡くなられた方々もいらした。 スタックした車を捨てて、歩いて家へ帰ろうとして凍死されたのだという。 家までの距離がどのくらいだったのか、わからない。しかし、八ヶ岳のような片田舎でも1時間か2時間も歩けばコンビニが必ずあるようなこの時代に、そんな風に凍死してしまうとは、もはや僕には言葉もない。何かひどく非現実的な、熱にうかされた悪夢を見るような思いがする。 悪夢。そう、それは大雪によってこの現代という時間さえもが寸断され、その時間の亀裂に落ち込んでタイムスリップし、人間と自然とが皮膚をきしみ合って生きていた古い時代に逆戻りしてしまったような、そんな類いの悪夢である。 そして、それはまぎれもなく、僕自身にも起こりえた悪夢である。 大雪の翌朝、スコップを取りに行くために、僕は胸まで埋まる雪の中を百メートルもない距離を倉庫まで歩いていかなければならなかった。 しかし、その距離はひどく遠かった。文字通り全身が雪に浸かり、脚は上がらない。両腕で雪をかき分け、そうして小さな一歩を前に踏み出す。それを何度も繰り返すのだ。 家への途上で凍死された方も、やはり胸までの雪のなかをひとり歩いたのだろうか。 たった一人で。 普段見知った道は、その時一変し、悪夢へと相貌を変えただろうか。白い、純白の悪夢へ。 そうしてやがて体はぬくもりを失い、心は彷徨いはじめ、深い眠りへと誘われたのだろうか。すでに現実感は失われ、その眠りは大きな安らぎだっただろうか。あるいは、やはり悪夢の深い谷底だっただろうか。 そして、彼は何メートル、あと何メートルで救われたのだろうか。彼の目に、家の灯りは見えていただろうか。彼の孤独は、雪のなかを点々とその灯りに向かって進んでいただろうか。 そう、それは僕自身にも起こりえたことだった。 僕たちは現代に生きながら、古い時代をそのまま生きている。ある時、日常に亀裂が入り、僕たちはその古い時代へと裸で放り出される。そして、自然が僕たちに運命を投げつけるのだ。それは本日期限の督促状であり、召喚状である。 亡くなられた方々に、心からのお悔やみをお伝えしたい。 どうか、あなた方の魂が、せめて家の灯りを見つけ、そこに帰り、あなたを愛し、あなたに愛された人とともに、春の午後の陽射しのような柔らかな微笑みを浮かべることができますように。 魂のこぼす涙が、雪とともに消え、空へ、青い空へ、解き放たれますように。 ご冥福を。心より。 2月19日。八ヶ岳。
by rhyme_naaga
| 2014-03-18 22:03
| Naaga`s Voice
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