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ある川の光景〜新年のご挨拶にかえて
2007年の初日、僕は実家の街の中心を流れる懐かしい川のほとりを歩いた。
ここ数年、年老いた母親への心配もあって、正月は毎年実家に帰るようにしていた。実家のある街を出奔したのが今からもう20年以上前のことだから、街の姿はそれから驚くほど変わった。
かつては静かな郊外だった実家の近くには大きなバイパスが造られ、渋滞を繰り返す車の列がそこを占拠した。大型店舗がいつくも建てられ、みるみるうちに田園は消えていった。僕の知っているあらゆる懐かしいものは、ことごとく消えていった。
僕がまだこの街に暮らしていた頃、僕はある美しさの中にいた。
それは甘美で残酷な少年時代であり、青年時代であった。すべてが良かったとは言わない。だが、生活の切なさにおだを上げて苦しみ涙をこぼす母をみているのが辛くて家を出ると、外の風景は静寂の中でいつも美しい姿をみせていた。家の裏手にはいくつもの河川が縦横に奔り、誰もいない河原にはただ風だけが吹いていた。その風が僕のすべてを慰めた。美しい風だった。
だが、すべてはことごとく失われてしまった。なぜこれほどまでに街の姿を変貌させなければならないのだろうか。これを発展というのであれば、それは道路と大型店舗で埋め尽くされたとても醜怪なものであるに違いない。
僕は街を歩き、静かに失望する。犬たちを連れてゆっくり散歩する道にも困り果て、仕方なく車に乗って、街の中心を流れる川のほとりへ行く。
そこは、少年だった僕がいつも泳いでいた川だった。
やがて下流にダムができて水はかつてほど美しくはなかったが、それでも水はまだ命を秘めているようだった。犬たちを車から降ろすと、彼らは思い思いに河原を走っていった。その姿を追って僕も河原へ降りていくと、夕闇の迫った川面に、太陽の最後のかけらが映っていた。
犬たちの黒い影が、下流のほうへと遠ざかってゆく。水の好きな犬たちは、川に少しだけ足を浸し、その水を飲み、そして顔を上げる。僕を振り返り、ふっと目をそらす。そして再び下流へと走ってゆく。その黒い犬たちの姿が、川にわずかに映り込んでいる。彼らは飼い犬だが、体の半分は野性の側にある。ジャック・ロンドンの小説『野生の呼び声』に出てくる犬は人間世界を捨て、やがてオオカミの群れのボスになるのだが、遠ざかってゆく彼らの姿は僕にそのオオカミたちを想像させた。
下流から、穏やかな冬の風が吹いていた。
僕は立ち止まり、川をみつめた。冬場のことで水量の少ないその川は、とても緩やかに流れていた。そうしてみつめているうちに、ふと、気分が穏やかになっていることに気がついた。街のことなど、どうでもいいじゃないか、と思った。もはや繋ぎ止める想い出も帰るべき場所も持たなくとも、あの犬のように、あの犬たちのように、野生の呼ぶ声に耳を澄ませばいいのだ。
未来は、過去に映り込む鏡像に手がかりがあるのではない。それは僕が、僕自身が荒野へ向かって奔放に投げ出す一歩にのみかかっているのだ。だから僕は、ただ歩いてゆけばいいのだ。もはや誰も歩いたことのない荒野を、オオカミの群れに身を投じたある犬のように。
いつしか風が止んでいた。太陽の最後のかけらは下流の彼方に消えて、犬たちの影も闇に沈んだ。家に帰ろう、僕はそう思い、犬たちを呼んだ。
大声で、叫んだ。

a0006822_22143232.jpg


旧年中は皆様に大変お世話になりました。改めてお礼を申し上げるとともに、2007年の皆様のご多幸を心よりお祈り申し上げます。たくさんの幸福と笑顔と実りが、どうか皆様の頭上に降り注ぎますように。
今年は映画『地球交響曲第6番』(春一般公開)への出演、カナダオーロラツアーでのライブ、エサレンツアーでのライブをはじめ各地でのコンサートを予定しています。また皆様にお会いできる時を楽しみにしています。
どうか健やかな一年をお送りくださいませ。心より、お祈り申し上げます。
1月6日 八ヶ岳より 長屋和哉
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by rhyme_naaga | 2007-01-06 22:16 | etc